地面を踏み締める素足、野山を駆ける父子や、岩の上に立つどっしりとした足。新しいSTRIDEのコーポレートサイトを開くと、やさしさと、身体が生み出すダイナミズムが見事に織り交ざった写真が浮かび上がります。
キービジュアルを撮影いただいたのは、写真家の中川正子さんです。
中川さんのフォトエッセイ連載「今日も、歩く」がSTRIDE JOURNALで始まります。
雑誌・広告のお仕事から自身の作品制作まで、好奇心とバイタリティにあふれた軽快なフットワークで国内外を飛び回る中川さんは、エッセイスト・文筆家としての顔も持っています。写真家として、母として、ひとりの女性として、そしてひとりの人間として、等身大の文章で読者に語りかけてきました。2024年に刊行されたエッセイ『みずのした』は、中川さんがブログやSNSに書き綴った文章、いわば“過去の自分”と、現在の自分との往復書簡です。
“過去の言葉のなかにいるわたしは、いつでもあのときの白鳥みたいだ。水の下の足をこれ以上ないってくらいバタバタさせている……そんな白鳥みたいな過去のわたしと、話し合いたい。そして自分をもう一度見つめ直してみる。”(『みずのした』/くも3より)
懐古とも、「たら・れば」の話とも異なる、昔の自分をとおしていまの自分を見るという、内省的な文章が続きます。登場する過去の中川さんをいまを生きる若い人に重ねて、エールを送る、そんな激励文として読むこともできそうです。
そんな中川さんにとってかかせないこと。
それは「歩くこと」です。
岡山の自宅のそばには、中川さんが「ホームマウンテン」と呼ぶ裏山があり、『みずのした』では、コロナ禍に、息子さんと気分転換でその169mの山に歩きに出かけ、一枚岩の上で靴を脱ぎ捨てる、というシーンが描かれています。
最近はもっぱら近所の道がフィールドだそうですが、朝、時間があれば、「いつものスタイル」で歩きに出ます。
多くの人にとって、日常的な行為である「歩くこと」。それでも、歩く日常が非日常のドアを開けることがある。自分らしさを取り戻したり、新しい自分に出会ったりするきっかけになることもあるかもしれません。
ほかならぬ中川さんが、そうでした。
歩いて見える世界と暮らしのなかで見える世界。地続きになったふたつの風景を行き来するなかで、中川さんが考えたことを、これからいっしょに追いかけていきたいと思います。
写真:中川正子