100キロウォークとは?
「100キロウォーク」とは、日本各地で開催されているウルトラウォーキングの大会のこと。
その名の通り、約100キロの道のりを歩き通す大会で、制限時間はおよそ26時間。参加者は10歳から80代まで。
小学四年生の子どもから、その8倍以上生きてきたベテランまで、実にさまざまな方が参加しています。そして、まったく異なる境遇の人たちが、同じ100キロ先のゴールを目指して、ただひたすらに歩き続けるのです。
途方もない道のり。
一歩一歩、歩いていく。
※もちろん、走ってはいけません!
女性も男性も、一人でも友達同士でも家族連れでも参加でき、「自分一人なら絶対にやらない体験」を求めて全国から集まってきます。
100キロを歩く魅力と独特の体験
100キロという途方もない距離を、一歩一歩歩き続ける体験は、まさに「歩く禅(歩禅)」とも言われるような精神的な魅力があります。
マラソンや自転車に比べると、歩くスピードは速くはありませんが、その分、周囲の景色や同じペースで歩く仲間との時間をじっくり味わえる。知らない人とも話をしながら歩いたり、静かに考え事をしながら歩いたり。ここにしかない独特の一体感が生まれます。
スタート時は気分が高揚していますが、時間が経つにつれてだんだん冷静になり、「なんで出場したんだろう…」「帰りたいけど帰れない…」などの思いが頭をよぎることもあります。
それでも足は前に進み、繰り返す動作の中で、普段の生活では味わえない反復の楽しさや達成感が見えてくるのです。
お遍路も、似たような感覚なのかな。
私の体験と100キロウォークの魅力
私が初めて参加したのは8年前。とてもきつかったけれど、これまで出場してきたマラソンの大会とも全く違う達成感があり、すっかりファンになりました。
日常的にのんびり生きていたら経験できないことに、みんなで挑戦してみる。
人は、山に登るでも、マラソンに挑戦するでも、なにか習慣をつけることでも新しいことに挑戦するのが楽しいんだと思う。やっぱりチャレンジするって(ストレスにもなるけど)ワクワクするし、取り組んでいる人たちは魅力的。
その中で、とんでもない距離を歩いてみるとか「普通は絶対やらないこと」に何故か人は惹かれるタイミングがあります。
別に自分が100キロ歩けたとしても世界は何も変わらないけど、大切な経験や自信になる人もいる。
100キロウォークを終えた後の小学生の疲れ切っているけど、自信に満ち溢れた顔を見た時は感動しました。
多分フルマラソンや長距離のトレイルランもその延長線上なのかもしれない。でもウォークは歩くだけだから幅広い方々に対して敷居が低く楽しめるのかもしれません。小学生でも、子育てを終えた夫婦でも、人生のベテランでも、いろんな参加者が自分のペースで、自分に向き合っていく。そんなチャレンジングな人たちと一緒に歩いていく、一体感とも言えるようななんとも言えない楽しさが100キロウォークにはある気がします。
23年に私が出場した「糸島三都110キロウォーク」そこで、へバッてきた私を颯爽と抜いて行った70歳の参加者が言った言葉が印象的でした。
「年に一回くらいは、人生で一回くらいは、100キロ歩いてみてもいいんじゃない?」
本当にその通りだと思います。
歩くことで得られる面白い体験がある。かもしれないし、ないかもしれない。
でも一回くらいは本気で歩いてみてもいいのではないでしょうか?
100キロウォークの特徴
- 競争ではなく、タイムを競わないウォーキングイベント
- 走ることは禁止されている
- 参加者の年齢層は10歳から80代までと幅広い。スポーツマンだけでなく、小学4年生から80代までが参加しているのも特徴で、親子三代で挑戦する家族連れも。子供たちにとっては大きな挑戦ですが、大人と同じ距離を歩き切ることで大きな達成感が得られる。終わったら10歳の子供が80歳みたいにヨロヨロしているけれど
近年全国的な広がりを見せており、「ぐんま100kmウォーク(群馬)」「晴れの国おかやま24時間(岡山)」「しおや100ウォーク(栃木)」などの大会が広がっており、朝日新聞協賛の東京エクストリームウォークや関西エクストリームウォークも注目を集めています。
九州では4000人近くの参加がある「行橋~別府100キロウォーク」や「佐世保-島原ウルトラウォークラリー」「飯塚武雄100kmウォーク」「糸島110キロウォーク」など人気の大会が多数開催されています。
2025年の春には「湯わたし100」が初開催。神奈川県を横断する、湯河原から川崎のブレーメン通りまでの100キロの道のりです。
100キロ歩くためのスタッフが実践した練習方法
100キロは、東京駅から熱海、大阪から伊勢神宮、熊本市から福岡市ほどの距離です。一見とてつもない距離ですが、しっかり練習すれば多くの人が完歩可能です。
もちろん、全く練習をしないで完歩するのは難しい距離。ここでは、100キロウォークのために私が実践した練習方法をご紹介します。
歩く姿勢の見直し
まずは、立ち止まった状態でもまっすぐ立てているかチェックするところから始めましょう。鏡やガラスなどで自分の姿勢をチェックすると良いです。腰が曲がったり、膝が折れている状態で長時間歩くと、肩こり、腰痛、膝痛など怪我の原因になります。鏡で姿勢をチェックし、背筋を伸ばしてリズムよく腕を『後ろに』振りながら楽に歩くことを意識しましょう。
歩くことを習慣にする
普段あまり歩かない方は、1〜2キロから、運動習慣がある方は5キロから始め、無理なく5〜10キロ歩けるようにしましょう。この練習を週に1回ではなく、2〜3日に1回のペースで継続することが大切です。これにより、歩行のための筋力が徐々に鍛えられ、自分の歩行ペースに慣れていきます。私が意識しているのは、歩き始める際に背筋を伸ばし、目線は下を向かず、リズムよく腕を振りながら、楽に歩くことです。
長時間歩く体験
まずは1時間、2時間と長く歩く時間をとりましょう。そこで見えてくる課題もある。そしてレースの2-3ヶ月前にはできれば、10時間や50キロの長時間歩行を練習に取り入れ、夜間の歩行も試しておくと安心です。ヘッドライトや靴下の必要性にも自ずと気づくことができます。仮眠を取ることも可能ですが、逆に動けなくなることも多いため、基本的には徹夜で歩く覚悟が必要です。眠気や疲労の感じ方は「人それぞれ」。深夜に眠くなる方もいれば、明け方に疲れがピークに達する方もいます。長距離を歩いた際の体の反応を、大会前に確認しておきましょう。
ペース管理
完歩者の平均タイムは20~22時間、1キロあたり12~13分程度のペースです。早すぎるペースは危険ですが、のんびり歩きすぎるとそれで疲れるし時間切れになるので、自分の持続可能なペースを把握しましょう。大会までに長めにキビキビ歩ける自分のペースの把握が必要です。
よくあるトラブルとシューズ選び
トラブルの紹介の前に伝えたいこと。
それは、100キロの道中で「トラブルが起こらないことはありません」。
補給食が足りない!足に水ぶくれができた!けど安全ピンを持ってない!とか、いろんなトラブルが起こります。多分トラブルがない人は、ほぼいない。まずは、トラブルさえも笑い飛ばせる「おおらかさ」を持ちましょう。
100キロウォーク中は水ぶくれ、マメ、膝痛、腰痛、足指の圧迫などトラブルがつきものです。多くの場合、合わないシューズが原因です。
特にランニングシューズはつま先が細く、足が圧迫されやすいものが多く、長時間歩行には向きません。かかとが高く設計されている靴も歩行姿勢を崩し、腰や肩の痛みにつながることがあります。
正しいシューズ選びで自然な歩行姿勢を保つことが、トラブル回避の第一歩です。
おすすめグッズ(ランニングベスト、ソックス、ヘッドランプ、日焼け止め)
ランニングベスト
荷物を持ち運ぶためのザックやバックパックでは、体に合わず疲れたり、背中や肩が擦れてしまうことがあります。ランニングベストはその名の通り「着る」構造で、長時間でもズレずに快適に使用できます。トレイルランニングでも愛されているアイテムです。もちろん最初はナップザックでも、安めのパックでもいいとは思う。だけど、100キロウォークで一番不快感が変わるのは、背負い続けるパックなんです。早くても20時間近くを背負っていくものの中身が揺れてしまったり、背中で擦れたり、いちいち取り出すときに時間がかかっていると疲れる。ほんとに。ベテランで快適に歩きたい人ほどパックはこだわります。
ソックス
シューズと同じく、ソックスも人によって合う合わないがあります。本番の前にしっかり試しておくことをお勧めします。コットンが入ったカジュアルソックスは汗を吸収しやすいため、長時間のスポーツシーンには不向き。速乾性の高い素材を選ぶと良いでしょう。100キロウォークでは、速乾性に優れたソックスが必需品です。
ヘッドランプ
100キロウォークでは、深夜に行動することが避けられません。そのため、ヘッドライトは必需品です。しかし、ヘッドライトといっても、安価なものから明るいけれどバッテリーが長持ちしないものまで様々です。100キロウォークの多くは、お昼スタート。ほぼ全てのウォーカーは夜通し歩きます。街であれば暗いライトでもいいけれど、100キロの道中は田舎道も山道も通ることがしばしば。明るさ、長時間のバッテリー、使いやすさを兼ね備えたヘッドライトを選びましょう。
日焼け止め
これは特に伝えたいポイントで「日焼けは火傷」です。「こんがり焼けた肌のスポーツマン」はかっこいいですが、日焼けによる“身体へのダメージ”は、想像以上に深刻です。そのダメージがなければ、もっと良いパフォーマンスが発揮できるかもしれません。
こんがり焼けると、とても疲れた経験はありませんか?それは日焼けが原因です。実は、日焼けとは太陽光によって肌が「火傷」した状態を指します。強い殺菌効果を持つ紫外線に対抗するため、肌は「サンバーン」(真っ赤に腫れる、水ぶくれする)や「サンタン」(肌が黒くなる)といった反応を起こして、身体を守ろうとします。
また、紫外線を浴びると、肌が日焼けするだけでなく、体内で活性酸素が発生します。活性酸素は「酸化させる力が非常に強い酸素」で、殺菌力が高く、体内では細菌やウイルスを撃退します。しかし、活性酸素が増えすぎると、正常な細胞膜や遺伝子まで攻撃してしまいます。過剰な活性酸素は体を酸化させ、疲労物質の蓄積を招き、組織にダメージを与えます。
日焼けによって、こんがり焼けた肌や組織の回復には多大なエネルギーが必要で、それが疲労につながります。日焼けは皮膚の劣化を引き起こすだけでなく、パフォーマンスを低下させる原因にもなります。しっかりとした日焼け止めと対策を行い、ダメージを抑えれば、もっと快適に楽しめますよ。
あと皮膚の保護クリームとか、アームスリーブ、帽子、バッテリーライフの長いGPSウォッチなどなど。語りたいことはさまざまですが、スタッフからのおすすめポイントはひとまずこのくらい。
詳しく聞きたい方は、STRIDE LABに遊びにきてくださいね。
100キロウォークの挑戦者の皆さまへ
100キロを歩くという決意をされた皆さま、あるいは興味を持たれている皆さま。
その挑戦を、どうか存分に楽しんでください!
一歩一歩を踏み出すごとに、新しい自分に出会えるはずです。
途中、つらい瞬間があるかもしれません。でも、その一歩一歩こそが、あなたの強さと忍耐を証明してくれます。大変だったはずなのに、歩き終えて数日も経つと「楽しかったなあ」と振り返れる、不思議な体験がきっと待っています。
どうか体調に気をつけながら、自分のペースで、一歩ずつ進んでください。
100キロを歩ききることよりも、楽しみながら歩き続けることこそが、最大の成功です。
心からのエールを送ります。
「年に一回くらいは、人生で一回くらいは、100キロ歩いてみてもいいんじゃない?」