【The STRIDE Backstage Files #11】 生粋のサポーター

2026.10.10

Staff stories

STRIDE LAB 天神店 店長 髙尾将大

LUNA SANDALS(ルナサンダル)やALTRA(アルトラ)を愛用していたことがきっかけで開店まもないSTRIDE LAB(ストライド・ラボ)福岡店に飛び込み営業をかけ、取引先となり、ついには自分もその一員となったのが髙尾将大さん。福岡店で4年間勤めたのち、2026年4月末にオープンしたストライド・ラボ天神店の店長になりました。その人柄は、優しい笑顔と「人のプラスになる手助けをするのが好き」というひと言に現れています。

文◎伊藤俊明
写真◎矢島慎一

舞鶴公園に隣接する大濠公園にて。ランニングに最適な周遊道あり、未舗装のトレイルあり、シューズの試し履きでもよく訪れた場所

愛用する側から“中の人”に

「ここで走ったり、お昼を食べたり、新製品の写真を撮ったり。福岡店にいたときはよく来ていました。ルナサンダルのイベントをやったこともあります。トレイルっぽい土の道もあるので、試し履きするのにいいんですよ」

待ち合わせた舞鶴公園の入り口で、ストライド・ラボ天神店店長の髙尾将大はそう言って人の良さそうな笑顔を見せた。接客風景が頭に浮かぶ。初めて会ってまだ数分も経っていないが、きっといい店長だろうなと思う。

カワセミもいるというお堀はハスの花が見ごろだった。まっすぐ伸びた茎の上に大輪の花。背景の青空には夏の白い雲。まとわりつくような暑さに、身体のアチコチから汗が噴き出す。

2カ月前にオープンした新しい店からは少し遠くなってしまったので、髙尾もここに来たのはひさしぶりだという。話を聞きながら、その新しい店を目指して歩く。

真夏日だったが、日陰は涼しい。さまざまなロケーションがある公園は、新製品を撮影するときも重宝した
ルナサンダルは、ストライド入社前からの愛用品。Gait Happens(ゲイトハプンズ)のトゥスペーサーで、ふだんから足元を整えている
標高597mの油山は身近にあって家族でも楽しめる山。福岡には高い山はないが、遊び場には困らない

まだ開店前の福岡店を通りすぎて、しばらく歩くと天神店があった。福岡エリアでは2店舗目となる。

どちらの店も目抜き通りに面していて500mほどしか離れていないが、同じストライド・ラボでもコンセプトがちがう。福岡店がランニングやウォーキングに特化しているのに対して、天神店はハイキング・登山をテーマにしている。見慣れたストライド・ラボのロゴの下に大きく「HIKE」の文字。キャッチフレーズは、「みんなのHOME MOUNTAIN」だ。

店内はアウトドアや登山にフォーカスした品揃え。入口にはNEMO(ニーモ)のテント。寝袋やマットはわかりやすいように広げた状態でディスプレイされる。シューズはゼロドロップをメインにトレイル寄りのものをセレクトしている。

髙尾は福岡店に4年間勤め、天神店の最初の店長となった。

天神店のテーマはHike。ニーモのテントや寝袋をはじめとするギア各種、シューズもアウトドア寄りのセレクト

前職は営業職。ショップのロゴなどをプリントしたオリジナルグッズをつくる会社だった。クライミングや登山が趣味でルナサンダルやアルトラを愛用していて、福岡店ができたタイミングで営業に訪れた。

「SNSでオープンするのを知って楽しみにしていました。自分が行きたいところに営業に行っていいという会社だったので、それならと。あわよくば仕事にという感じで、オープンしてすぐ、飛び込みで営業に行きました(笑)」

そのときに対応したのが、自ら店頭に立っていた代表の福地孝だった。

「福地さんは開店当初の1カ月間くらいお店に立っていたと思います。ルナサンダルやアルトラを履いていたこともあって、話が弾みました」

営業は無駄にはならず、しばらくしてからリアクションがあった。ブランドの認知を高めるべくイベントを行なったり、店舗を増やしつつあったストライドにとっても、オリジナルグッズは渡りに船だったのだろう。担当者がブランドを知っていれば、言葉にしにくいブランドの空気感もわかってもらいやすい。なにも知らない相手にイチから説明するよりも安心して制作を任せられる。

最初につくったのはオリジナルのTシャツ。八ヶ岳で実施したアルトラのイベントに合わせて制作した。その後も新しい店がオープンするタイミングでノベルティをつくったり、トートバッグのようなオリジナルグッズの制作も請け負ったりした。良好な関係が続いたのちに、最後は自分自身がストライドの一員となった。

前職時代に手がけたアルトラ・ローンピークをモチーフとしたトートバッグ

きっかけはコロナだった。

「旅行に行くな、外出するな、飲みにも行くなとなってしまって、観光地のお土産物をつくる仕事も、飲食店の制服をつくる仕事も全部なくなってしまいました」

だれもがそうであったように、ストレスとなったのは、自粛がいつまで続くのかわからないことだった。仕事を求めて毎月のように東京まで出張したが、「それどころじゃない」なかでオリジナルグッズの制作を呼びかけるのは矛盾している。心が苦しかった。

「このままだとダメになると思いました」

そうした状況が半年ほど続いて、ついに退職を決意した。

お世話になった方々にお礼の挨拶をするなか、福地にも電話をかけた。

コロナ禍にあることはストライドも同じだったが、アウトドアに関わるブランドは外に出なければ成り立たない。

時は2022年。前年夏には、無観客ながら1年遅れの東京オリンピックが開催された。3月には、18都道府県に出ていた「まん延防止等重点措置」が解除されていた。世間を取り巻く空気は依然として重たかったが、少しずつではあるものの良くなりそうな気配があった。

ほかの店では見たことがないユニークな仕掛けが、石を敷き詰めたフロア。ゴツゴツした石の上で履いてみれば、地面の感覚が掴みやすいゼロドロップの良さがすぐにわかる
日帰りからテント泊までカバーできるバックパック。イタリアのSALEWA(サレワ)やニーモの製品がこんなに揃う店はなかなかない

動き出そうとする人の手助けがしたい

福地に電話をかけると、「東京に来られる?」と聞かれた。4月に行なわれるトレイルランニングのイベント「トレイルオープンエアデモ」のスタッフを探していた。

「入社前の試用とかではなくて、単純に人手が足りなかったんだと思います(笑)。アルトラの試し履きのお手伝いをしました。イベントはひさしぶりで、いろんなメーカーの人と会えたのは楽しかったですね」

ストライドのオフィスから青梅の会場まで、荷物を満載したハイエースの運転も引き受けた。グッズ制作会社の前は福祉施設で働いていて、ハイエースの運転は慣れていた。

社会人になって最初に就いたのは、福祉の仕事だった。出身は長崎県の諫早市。高校卒業後、福岡にある介護の専門学校に進んだ。

「人の役に立つ仕事がしたかったんです」

障害者を支援する施設で働きつつ、趣味を持ちたいと思ってはじめたのがクライミングと登山だった。

「クライミングは、どこで見たのかももう忘れてしまいましたが、かっこいいなと思ってやりたくなりました」

まだブームになる前のことだ。調べてみると、福岡にも2軒のクライミングジムがあった。最初の1年はジムでボルダリング。それから外岩にも行くようになった。福岡の日向神、大分の本匠、宮崎の比叡山など、九州はフィールドにも恵まれている。

社会人になって、なにか趣味がほしくてはじめたのがクライミング。ジムのボルダリングから、やがて外岩へ。九州はいい岩場が多い。写真は、長崎県の龍頭泉
クライミングと同時に登山もはじめた。奥さまといっしょに北海道や北アルプスにも遠征。写真の屋久島は稜線上の奇岩も魅力のひとつ

同時期にはじめた登山は、通勤のために買った軽量なレインウエアがきっかけとなった。友人が勤めるアウトドアショップで購入し、ともに歩いた。いまも変わらず、いっしょに遊ぶ仲間だ。

「福祉の仕事をしているときは週末が休みで、このころがいちばん山に行っていたかもしれません」

地元のくじゅう連山をはじめ、北アルプスや屋久島、北海道の山にも足を伸ばした。

ストライドに入ってからはトレランの大会やフルマラソンも経験し、100kmウォークにも参加するようになった。

「福岡は100kmウォークが盛んで、お客さまでも歩かれる方がたくさんいらっしゃいます。そういう方とお話しするためにもやってみなくちゃという感じではじめましたが、実際に歩いてみると楽しくて、これまで4回歩いています。なんだかんだでいちばん好きかもしれません」

「いちばん好きかも」と話すのが100kmウォーク。はじめたのはお客さまとのコミュニケーションのためだったが、これまで4回出場している

子どもが生まれたいまは、家族ででかけるハイキングがたのしい。

「福岡は低山が多いんですが、登頂にはこだわらずに歩いています。初めて行ったのは子どもがまだ11カ月のころで、最初は背負子で背負っていましたが、4歳になったいまは、『あそこまで行ったらジュース飲もうね』なんてご機嫌をとりながら、登りは歩いてもらえるようになりました。じつは、この店がオープンするのと同じころにふたり目が生まれまして、来年は家族4人で出かけたいと思っています」

体力づくりも兼ねて、日々の通勤ランも欠かさない。暑くなってからは帰り道だけだが、約5kmをルナサンダルで走っている。

子どもが小さかったり職場が変わって忙しくなったりすると、思うように遊べなくなることも少なくはないはずだ。にもかかわらず、ネガティブな発言はひと言もなかった。けっして無理はせず、できるときにできることを最大限に楽しむ。髙尾と話していると、そんな印象を受ける。

いまは家族で山を歩くのがたのしい。ふたり目も生まれて、来年は4人でハイキングへ

福岡店の常連が天神店にも顔を出してくれる。それまであまり運動していなかった人がアルトラのシューズを手に入れたことで歩きはじめたり、やがて100kmの道のりを歩き通したりするのをこれまで何度も見てきた。ウォーキングはしているが登山は未経験という人が山に興味をもってくれたりすると、接客にも力が入る。

「その人のプラスになる手助けをするのが好きなんだと思います。前の仕事でもそうでしたが、営業面で数字を取ることだけではなく、ていねいにスピーディに対応して、『またお願いしたい』と言われることもよくありました。そういうのが自分の持ち味なのかもしれません」

人の役に立ちたいという思いが出発点だったように、根っからのサポーターなんだと思う。初めて笑顔を見たときの第一印象は、まちがいじゃなかった。

子どもとふたりで寝るために今年新たに導入したのが「ニーモ・ドラゴンフライオズモ2P」。上部に短いポールがあることでサイドウォールが立ち上がり、軽量ながらも快適にすごせるところがお気に入り。前室部に取り付けられるバスタブ状のもの入れが便利だ。写真は、ストライド妙高店の駒村店長といっしょに行った、妙高山と火打山の中間にある高谷池ヒュッテのテント場にて

Profile

髙尾将大(たかお・しょうた)
長崎県・諫早市出身。学生時代に学業とアルバイトに追われた反動か、社会人になって趣味がほしいと思いクライミングと登山をはじめる。ストライドに入ってからは、そこにランニングやトレイルラン、100kmウォークも加わった。2027年の1月には、地元の長崎県・諫早市で初めて行なわれるフルマラソンに参加する予定だ。「フルマラソンはひさびさですが父と弟と走るのが、いまから楽しみです」

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