STRIDE コーポレート部 部長 長谷部友矩

2026.06.24

Staff stories

魅力的なブランドや優れた製品はもちろんのこと、会社が成長するためには強い組織づくりもかかせません。STRIDE(ストライド)のバックオフィスを統括し、この組織づくりを精力的に進めているのが長谷部友矩さんです。経理担当として入社しながら、目の前の課題に手を伸ばし続けてきたその歩みをたどります。

文◎伊藤俊明
写真◎矢島慎一

長谷部の入社時、ストライドには事務専任のスタッフがいなかった。経理担当として入社するも、バックオフィスの仕事もセットになるだろうと予想はしていたという

「文系の数学」からストライドに至るまで

ストライドのバックオフィスは、長谷部友矩が構築した。いまのおもな仕事は経理や総務、人事だが、さらに事業が拡大していくこれからは、その土台となる組織づくりも担うことになる。前職は税理士事務所のスタッフだった。大学入学時から税理士を目指していたと聞いて、思わず「なぜ?」と尋ねてしまった。18歳の若者が興味をもつ仕事とは思えなかったからだ。

話は大学受験時に遡る。

高校では遊んでばかりで、受験を意識したのは3年生の秋と遅い。文系だったが社会系の科目が致命的に苦手で、いまからでも間に合うだろうかと調べるうちに、第三科目に数学を選択する数学受験というものがあることを知った。数学は比較的得意だった。「これなら敵も少ないだろう」と、受けられる大学を探すと、ほとんどが経済学部だった。

それから3カ月間は死ぬ気で勉強した。「受験はパターンだ、パターンだけで倒せる」と考えて、塾にも通わずに行きたい大学の過去問題ばかりに取り組んだという。ほかの大学だったら絶対に受からなかったと話すが、それでも志望校に潜り込んだ。

受験勉強をはじめる時期も勉強の仕方も普通じゃないが、大学に入るときにはすでに就職のことまで見据えていたというから、また驚いた。

「『文系の数学』という道がぼんやりと見えて、自分はたぶんこの道しかないんだろうなと思いました。まだ18歳だったので、可能性は無限だとなんの根拠もなく思えて。それならトップを目指してやろうと」

文系の数学、つまり経済経営分野のトップはと調べてみると公認会計士だった。医師や弁護士と並ぶ三大国家資格のひとつだ。しかし、業務内容を調べてみると、自分の性には合わないような気がした。

「それで、もうちょっと人に寄り添うような仕事がいいなと思ったときに出てきたのが税理士でした。中小企業からいろんな話を聞いて相談に乗ったり、経理のサポートをしたりする。『こっちの方向だ』と思いました」

仕事に欠かせないのが電卓。素人目には信じられないスピードでキーを叩く。打鍵音強め

大学入学の時点でそう考え、授業も「就職に役立つかどうか」で選択した。就職活動では4つの税理士事務所に狙いを絞ったが、最初に受けた会社で内定をもらい、職場の雰囲気もよかったのでそのままそこに決めた。残りの3社は受けなかった。

こうして入所した税理士事務所だったが、仕事は厳しかった。若手にこなせるとは思えない仕事量を任される。それでも、「3年は続けてやる」と決意して食らいついた。

「どこかで聞いた『3年は続けないと意味がない』にはなんの根拠もないと思っていましたが、実際に3年経つとちょっと見えてきました。力の抜き方がわかってきたし、お客さまともいい感じで話ができるようになってきてラクになりました。このスキルをもうちょっと高めたいなと思うようになって、結局そのまま6年くらい続けました」

6年も経てば立派な中堅。後輩もできた。仕事にもすっかり慣れた。それでも多忙を極めた。そのころには、ひとりで60社以上を担当するようになっていた。「まだ未熟」と、「このスキルで試してみたい」のどちらもあったが転職の思いが芽生え、自身をとりまく環境が変わったこともあり、いまが決めどきだと決意した。

長谷部が転職しようというまさにそのとき、ストライドでは経理担当者を探していた。会社の成長とともに人が増え、経理業務を社内でまかなう自計化を目指していた。

浮いたボールをお見合いしない

こうしてタイミングが重なり、長谷部はストライドの一員となった。経理担当として入社したが、会社が大きくなるにつれ、人事や採用なども担当するようになる。

きっかけは、ある日給与計算をしているときに、ふと頭に浮かんだ素朴な疑問だった。「この会社の給与水準ってどうなっているんだろう?」。たしかめてみると、決まった時期に給与が改定されていないことがわかった。基準も明確ではない。小さな企業ではよくあることだ。

「でも、これから大きくなっていく会社なんだと考えたときに、本社からの距離や入社年度にかかわらず、会社の思いを理解して努力している人を評価しないと、文化が根付いていかないと思ったんです」

会社に評価制度の構築を提案した。評価基準と評価期間をつくり、昇給するかどうか、昇給するならいくら昇給するか決める。

「それができれば人が増えても、自分の目が届かない人が出てきたとしても、間にいる上長に報告してもらうことで評価できます。そうすれば何百人になっても大丈夫だと提案しました」

デスクを離れても、「割とずっと仕事のことを考えています」。家にいてアイデアが浮かび、翌日着手することもしばしば。真面目さはもちろんあるのだろうが、心から仕事を楽しんでいるように見える

長谷部のこの提案は認められ、社内の評価制度が策定された。「だれが担当するか」という次の問題は、問うまでもなかった。

「事務方で働いているのは私だけだったので、『だれがやる?』となったら、真っ先に『あいつっぽいな』と(笑)。でも、そこまできたらもう消極的ではありませんでした。変に尻込みしてグズグズしてもしようがないので、『私がやりますんで、進めましょう』と。気づけば総務も含めて、コーポレート部という部署での管理をしています」

自然な成り行きのように聞こえるが、火中の栗を拾いにいったようにも見える。なぜ? とふたたび問う。

「この会社が目指している『すべての一歩を健康に』という未来は私にとっても魅力的です。社長の考え方もワクワクするんですよ、聞いていると。転職を考えていた当初は、どこで経理をやってもいいと思っていたんですけど、ここでお世話になりたいと思ったのはそういう魅力があったからです。入ったからには会社が目指しているものを実現したいと思っていて、達成するには、私が見えている部分でなにかやっていかなきゃいけない。その課題に手が出せるのは自分だけだったので」

これまで話を聞いてきたストライドのスタッフはだれもがそうだが、長谷部もまた、一見クールに見えても内には熱いものを抱えている。

「ウチは決まりごとが少ない会社ですが、浮いたボール、浮いた仕事はお見合いしない。必ずだれかが手を出しに行きます。私はそれが重要だと思っていて、そこにあるボールに手が届きそうだと思ったらすぐに手を出す。これは自分がやることだと思いました」

経理や人事担当者は他の社員と一定の距離を保つ人もいるが長谷部はむしろ近め。妙案を思いつくと「さすが人事部長!」と冷やかしの声が飛ぶ。いじられやすいのは子どものころから変わらない

部署名は、総務や人事ではなく「コーポレート部」。おもな仕事は経理や総務、人事だが、会社が大きくなるのに合わせて、より広い意味での組織づくりや法務をも主導していくことになる。そこに向かう体制も少しずつ整ってきた。今年のはじめまではひとりだったが、いまは4人のメンバーがいる。

「最近は人が増えたので、いろいろ任せられるようになってきました。チームを管理しつつ、この部署には日常的にやる仕事と、それにプラスしてミッションとでも呼ぶような仕事があります。それは、会社が大きくなるにつれて必要となる仕組みづくり、組織づくりのようなこと。『いついつまでにこの制度をつくる』という目標を立てて、それを実現・運用できるように目指します。そのためにはなにが必要か、考えて、実行に移していきます」

会社が成長するにつれ、それに合わせた人材の質と量、カタチ(組織)が求められる。さらには、それに伴う細かいルールづくりも必要になる。パソコンに向かって日常の業務をこなしながら、机を離れてもずっとそのことを考え続けている。

ワーカーホリック? いや、やりがいがある場所を見つけると、人は自然とこうなるのではないだろうか。

ストライドに入って「健康」を考えはじめた。ALTRA(アルトラ)定番のロードモデル「エスカランテ4」がお気に入りだ 。「柔らかくて歩きやすく、あまり運動をしない自分にもぴったりです」

Profile

長谷部友矩(はせべ・とものり)
東京都出身。小中とサッカー少年だったが気が弱く、つねに周りを見て「怒られないサッカー」をしていた。浮いたボールを見逃さずに先回りして行動する性格は、そのころに培われたのではないか、というのが自己分析。趣味は競馬とビール。競馬は、試しに馬券を買った有馬記念で負けたのがくやしくて、その馬の血統を調べたのがきっかけでハマった。いまでは、夏の終わりの新馬戦で推しの馬を探すのが楽しみ。

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