STRIDE 商品PR課 主任 西尾洋佑

2026.06.23

Staff stories

「STRIDE(ストライド)」スタッフの仕事ぶりをご紹介する連載企画「The STRIDE Backstage Files」。第2回目はメディア対応をはじめ、各ブランドの魅力を発信する重要ポストを担う、プレス担当の西尾洋佑さんをインタビューします。

文◎伊藤俊明
写真◎矢島慎一

17ブランドのプレスを担う

西尾洋佑は、ストライドでプレス業務を担っている。

ストライドは現在、「ALTRA(アルトラ)」「LEMS(レムズ)」「SKINNERS(スキナーズ)」「Notace(ノータス)」「BLUSUN(ブルーサン)」「GROUNDIES(グラウンディーズ)」などのゼロドロップシューズをはじめ、アメリカのアウトドアギアメーカー「NEMO(ニーモ)」やウールアパレルの「Ibex(アイベックス)」、GPSウォッチ「COROS(カロス)」のような、スポーツやアウトドアに関する多数のブランドを扱っている。

メディアの取材に対応するプレスはブランドの花形部署だが、これほど多くのブランドを抱える会社のプレス担当とは、一体どんな人物なのか。

自分の言葉で穏やかに話す。にこやかで人当たりが良いところもプレス向き

メールや電話のやりとりでは「仕事ができるベテラン」という印象。心身ともに充実した壮年を想像していたが、実際に会うともう少し若い。ということはきっと、想像よりも「できる」人だ。ストライドに入社してまる2年。その前は、アパレル会社が運営するセレクトショップに立っていたという。

そのころ、「ちょっと行ってみようよ」と友人に誘われて山に登り、登山にハマった。簡単にやめられないところがおもしろかった。

「僕は結構自分に甘くて、それまでは思うようにいかないと諦めてしまうことが多かったんです」と、自嘲気味に笑いながら話す。

「でも山登りは、絶対に途中でやめられないじゃないですか。登りの途中でしんどくなっても、そこでやめるわけにはいきませんよね。最後までやりきるしかなくて、でも、きついと思っていても、続けると意外とやりきれる」

山頂に立ったときの達成感が心地よかった。

「ひさしぶりに味わう感覚がすごく楽しかったです」

ストライドの仕事は「めちゃめちゃスピード感があります」。ストライドが取り扱うブランドはどんどん増えて現在は17社。ブランドの背景や製品を頭に入れるのもたいへんだ

小中高とサッカーを続けていた。大学ではスノーボードサークルに所属したが、「仲良い奴の集まりみたいな」感じだった。つねに運動する環境にはいたが、スポーツ志向というほどではなかった。趣味と呼べるものもとくになかったが、服が好きでアパレルの仕事に就いた。そんななか、登山は性に合った。

店に立つ仕事なので休みは平日だった。週末休みの友人とは予定が合わずに自然とソロが多くなったが、かえってそれが良かった。

「日帰りだと低山に行くんですが、平日の低山にはぜんぜん人がいないんですよね。視界のなかにだれひとりいなかったり、電波が入らない場所だったりすると、歩いているうちに自然に自分と向き合うようになる。そんな時間が好きでした。山で出会う絶景よりも、むしろそうして内省する時間のほうにハマったのかもしれません」

それまでは服くらいしか興味がなかったが、そのベクトルが山に向いた。

双六岳にて。山行はソロが多い。子どもが生まれて家族の時間も増えた。限られた時間を最大限に使いたいので、休憩もそこそこに汗をかきながらがしがし歩く。必然的に写真も少なめ

アパレルの会社で最初に配属されたのは、重衣料と呼ばれるスーツやジャケットを扱う部署だった。一見同じように見えるシャツやジャケットも、素材や製法によってそれぞれに個性がある。一つひとつの素材や作り方、その背景にあるブランドの成り立ちまで含めて調べ上げ、特長に光を当てる。物事を深掘りするのはもともと好きだったが、仕事になったことでさらに洗練された。登山の準備は、その作業とも似ていた。

「山を歩いている時間ももちろんですが、目指す山や出かける時期に合わせて、なにを持って行くか考えている時間も楽しんでいます。自分の感性にも合っていると思いました」

そうして登山に夢中になるにつれ、山やアウトドアに関わる仕事がしたいと思うようになった。結婚して、子どもも生まれた。少し先のことを考えはじめる人生のタイミングとも重なっていたのだろう。

山ではアルトラのオリンパスを履いていた。店で扱っていて、社販で安く買えたから履き始めたが、足に合った。なんとなく求人情報を眺めていたところ、そのアルトラを扱う会社が人を募集していた。

「アパレルにいる人ってみんなそうだと思うんですけど、ちょっと天邪鬼なところがあって、王道ではなく、まだあまり知られていないブランドに魅かれたりします。当時のアルトラはアウトドアをやる人にはよく知られていましたが、一般の認知度はまだまだ低くて、自分的にはちょうど。まさに求めていた塩梅で、求人を見た瞬間にすぐ応募しました」

本国と直接やりとりすることでブランドや製品の理解が深まる。ふだんは知り得ない裏側を見られるのも楽しい

多忙でスピード感のある仕事に、ポジティブに向き合う

自社で扱う製品で気に入っているものを尋ねると、スキナーズの「Easygoer(イージーゴヤー)」を見せてくれた。理由を語る口上に思わず惹きこまれる。

「スキナーズは、いい意味でベアフットシューズっぽくないんです。ベアフットシューズは、もともとはスポーツとかアウトドアの文脈からきたカルチャーですが、それだけにちょっとストイックなデザインが多いんですね。良さそうだなと思っても、ふだん街では履きにくかったりします。スキナーズの魅力は、そういうところも踏まえた靴作りをしていることで、もっと普遍的な、ミニマルなデザインになっています」

掴みが上手い。シンプルな靴を片手に、さらにその特長を簡潔に伝える。

アッパーにはイタリアのタンナーから仕入れたプレミアムレザーを使い、ポルトガルの職人が一足一足手作りしていること。ベアフットシューズは柔軟性が高く、屈曲する前足部のソールが剥がれてしまうことも多いが、スキナーズはソールとアッパーを接着したうえで、さらに縫い合わせて耐久性を高めていること。内側のステッチはハンマーで叩いて足当たりをなくし、ライニングに吸湿性の高いテンセルを貼って快適性を高めていること。目に見える部分から隠れたところまで、よどみなく的確にその魅力を伝える。

製品を深く理解し、相手に合わせて的確にアウトプットする

プレスは未経験で不安もあったというが、実際にやってみると接客と通じる部分が多かった。

「ブランドや製品の魅力をインプットして、相手に伝わるようにアウトプットする。一般の消費者から小売店のバイヤーやメディアの方へと伝える相手は変わりましたが、やっていることはアパレル時代の接客と大きくは変わらないと思っています。物事を深掘りするのはもともと好きだったので、自分には合っているかもしれません」

いや、「かも」ではないだろう。ブランドの背景、製品の機能やスペックが大きな意味をもつスポーツやアウトドアの分野では、西尾がもつ志向はむしろ理想的だ。

できる人は頼りにされる。取り扱いブランドが増えたいまでは、業務はプレスのみにとどまらない。スキナーズやグラウンディーズなどいくつかのブランドは、本国とのやりとりから営業戦略まで一気通貫で担当している。

さぞや忙しいだろうと驚いたが、成長期にある会社らしいエピソードでもある。本人もいたってポジティブだ。

「ブランドや工場の人と直接やりとりするので、一次的な生の情報に触れられます。スピード感がすごいので食らいつくのに必死ですが、やりがいを感じています」

プレス業務どころかマーチャンダイジングまで担当して、「おもしろいです」と話す。どんな人物かと思ったが、やはり只者じゃなった。

「スキナーズ・イージーゴヤー」を愛用。上質な素材とていねいなつくりが魅力

Profile

西尾洋佑(にしお・ようすけ)
神奈川県出身。セレクトショップのスタッフ時代にアルトラと出会い、接客業からプレスへと転身した。ストライドに来てからランニングをはじめ、ロードだけでなくトレイルも走るようになる。フルマラソンは2回完走。2026年の目標はトレイルレースに参加すること

この記事のキーワード

キーワード一覧へ