STRIDE LAB 妙高店 店長 駒村俊介

2026.06.24

Staff stories

全国に拡大を続けるSTRIDE LAB(ストライド・ラボ)はフィールドの前線基地として、地域の方々に外遊びの楽しさを伝える役割を担っている。今回はその代表格である妙高店にフォーカス。冬季オリンピックの出場経験を持つ、根っからのアスリートである駒村俊介さんをご紹介します。

文◎伊藤俊明
写真◎平元 岳

店長はオリンピアン

アウトドア好きにとって、新潟県の妙高高原は天国のような場所だ。夏は妙高山や火打山の登山口として賑わい、冬になると豊富な雪を求めて海外からもスキーヤーやスノーボーダーが押し寄せる。一年中、あらゆるアウトドア・アクティビティが楽しめる極上のフィールドである。

妙高高原駅で電車やバスを降りると、目の前に「ストライド・ラボ 妙高」がある。自社で扱う「ALTRA(アルトラ)」のシューズや「NEMO(ニーモ)」のテント、「Ibex(アイベックス)」のウールアパレルをはじめ、ストーブやクッカーのような登山用品から冬はBCクロカンの装備一式まで、フィールドのゲートショップにふさわしく幅広い商品を取り揃えている。

夏は下草で歩けないブナの林も、雪が積もれば踏み入ることができる。スキーがあれば自由自在だ

店長の駒村俊介は地元妙高の出身。クロスカントリースキーの選手としてオリンピックにも出場した生粋のアスリートだ。選手を引退後、トレイルランニングでアルトラのシューズやティートンブロスのウエアを愛用していたことがきっかけでストライドと出会い、2022年の妙高店オープンに合わせてストライド・グループの一員となった。

前職はお茶や健康食品を扱う会社。選手時代にサポートを受けながらそこで働き、引退後も長く勤めた。

「前の職場では、営業から実際に工場でお茶をつくる仕事までいろいろやりました。クロカンをずっと続けてこられたのもそうですが、自分は、地味なことをコツコツ続けることができるたちなんだと思います。工場でひとりもくもくとお茶を配合したりするのも苦ではないというか、むしろそういうのは性に合っていました。職人みたいな地道なこととかが向いているのかなとは思います」

クロカンをはじめたのは小学3年生のとき。妙高の小学校では当時、冬になると午後の授業がスキーになった。

「ある時期になるとクロカンかアルペンか、好きな方を選択するようになっていました。ふたつ上の兄がクロカンをやっていたので深く考えずに選びましたが、向いていたんだと思います」

持久力と筋力があり、日本人のなかでは身長も高い。なにより、地味な練習も厭わずに続けられた。オールラウンダーでスプリントから50kmのロングディスタンスまですべてをこなしたが、どちらかというと長距離のレースが好きだった。

写真が趣味の父親がつくったアルバムを見ると選手時代を思い出す。テクニックなら海外の選手にも負けていなかった

「テクニック的にはスキーを前後に滑らせるクラシカルが好きでした。どちらかというとスケーティングはパワー重視のイメージで、クラシカルの方が、よりテクニックが要求されると思います。そこを突き詰めて、どうやったら体が大きい外国人よりうまく滑れるかを追求してやっていました」

クロカンの選手を引退したのちは、友人の誘いでトレランをはじめた。趣味のつもりだったが、「アスリート気質が災いして(笑)」のめりこんだ。

「レースもかなりの数に出場していましたし、出れば優勝・入賞を目指しました。趣味の範囲ではありませんでしたね」

仕事に不満はなかった。選手活動をサポートしてくれたことに恩義も感じていた。しかし、心の奥にくすぶるものがあった。

「ずっとやってきたスポーツに関わる仕事がしたいという気持ちもあったので、ストライドとの出会いは、まさに絶妙なタイミングでした」

販売の仕事は初めて。新製品の情報を頭に入れるのはたいへんだが、自身がプレイヤーである経験が役に立つ

夢はクロカンでカフェに行くこと

ストライド・ラボの各店舗は、それぞれが地域に根ざしたイベントを行なっている。妙高店もしかり。標高が高く平地よりも涼しい高原地帯には、涼を求めてランナーが集まる。箱根駅伝の強豪青山学院大学の陸上部も、春夏の合宿をここ妙高で行なっている。妙高店のイベントも、閉店後のナイトランからはじまった。

「はじめは友人に参加してもらったりしていました。なかなか人が集まらなくて最初はつらかったんですが、開催するたびにインスタグラムで『やります』『やりました』と発信しました。そうして続けていたら、だんだん参加者も増えてきました」

早朝に走るモーニングランのイベントには、いまでは毎回20人から30人が集まる。昨年の最後の回には、朝6時半の妙高高原駅前になんと40人! ウォーキングとランニングの二手に分かれ、1時間ほど体を動かしたあとは妙高店のお隣にある「Myoko Coffee」でパンとコーヒーの朝食をとるのがお約束だ。高齢の参加者も少しずつ増えている。

「『こんなに若い人と話せて楽しいわ』なんて言われるとうれしくなりますね。世代や体力を問わない、良いコミュニティだと思っています」

自分が使っている道具は、自信を持って提案できる

冬はもちろんスキー。毎週末のようにBCクロカンのイベントを開いている。

BCクロカンは、競技用よりも幅広でエッジが付いたスキーを使ったクロスカントリースキーの1スタイル。スキーのソールにはウロコ状の滑り止めがあり、これだけで斜面を登り、滑ることができる。競技用に比べて安定感が高いので、整備されたトラックを離れて、自然のフィールド(=Backcountry)に踏み出せる。冬季閉鎖の林道や、夏は草が生い茂って入れない場所まで、雪が積もればすべてがフィールドになる。

「雪があるからこそ見える景色があります。BCクロカンの魅力は、自分の足でその景色に会いに行かれること。以前は、より多くの人にそんな景色があることを知ってほしいと思っていましたが、最近は、自分もいっしょに見に行きたいと思うようになりました」

仕事のやりがいを感じるのもそんなときだ。

「販売員としてはどうなのかなと思うこともありますが、ただ商品を売って終わりではなく、そこから先の遊び方まで提案したい。ウエアや道具を使っていただき、同じフィールドを共有できるのが、いちばん楽しいところだと思っています」

開店前の朝一番に、駒村に連れられて雪の上を歩いた。BCクロカンの道具は拍子抜けするほど軽い。ブーツは登山靴、いやライトなトレッキングシューズという感じ。片方の足で踏み込むように雪面を蹴ると、すーっと気持ちよくスキーが走った。

歩いたり走ったりするのとはまるで違う感覚は新鮮で、なにより楽しい。豪雪地の妙高では、例年5月の連休ごろまで楽しむことができる。妙高店もゴールデンウィークのイベントを計画中だ。興味がある方はショップのInstagramをお見逃しなく。

「STRIDE LAB 妙高」の店内風景。ウエアからギアまで幅広い品揃え。メンテナンス用品など、フィールドで「いまほしい」ものも手に入る。
お気に入りは「Teton Bros.(ティートンブロス)」のセラックパンツ。「こんなに履きやすいパンツはありません」

最後に、これからやってみたいことを聞いた。

「海外のリゾートには、街から街を繋ぐようなクロカンの長いコースがあります。それと同じように、たとえば妙高エリアなら赤倉観光、池の平、杉ノ原とスキー場の麓を繋ぐようなツアーをやってみたいですね。おいしいベーカリーやカフェを目指して走るイベントがありますが、それをクロカンでやるのがひとつの夢です」

コツコツと物事を積み重ねるタイプが、できもしない荒唐無稽を語るとは思えない。夢と言いつつ、駒村の頭のなかにはすでに仮想ルートができあがっているのではないか。次の冬にはおもしろいツアーが実現しそうな気がして、ついつい期待してしまう。

Profile

駒村俊介(こまむら・しゅんすけ)
新潟県・妙高市出身。クロスカントリースキーの選手として2006年のトリノオリンピック出場。アルトラでトレイルを走っていたことがきっかけでストライドと出会い、ストライド・ラボ 妙高の店長になる。オリンピックイヤーの2026年はクロカンにも注目が集まり、BCクロカンの問い合わせも増加。手応えを感じる冬になった。

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